團、芥川、黛、権代敦彦。 |
チャンスがないと聞けない現代音楽をたっぷり。 東京シティ・フィルの第196回定期演奏会は、團伊久磨・芥川也寸志・黛敏郎と、現役作曲家 権代敦彦でした。 團、芥川、黛の3人が、作曲家の音楽に市民権を得ようと始めたのが「3人の会」だそうで、その会で初演された代表的な音楽を一夜で楽しめるという趣向。 團伊久磨の管弦楽組「シルクロード」は、1948に 管弦楽のための「舞踊組曲」 というタイトルで作曲されたもの。 そのまま「西遊記」に使ってほしい音楽です。 え?今の西遊記じゃないですよ(笑) とても聞きやすく、シルクロードのイメージが喚起される様々な主題が楽しい。 芥川也寸志の「エローラ交響曲」は、断崖の石窟寺院群エローラにインスパイアされて作曲した音楽だそうです。 團の「シルクロード」が自然と人間の生活だとすると、芥川の「エローラ」は石窟寺院を作りながら精神の奥底を見据えようとする哲学、とでもいえるでしょうか。 黛の「饗宴」にいたっては、ローマのカラカラ帝とかケルトの戦のあとの祝宴とかを想像してしまいました。強烈なまでの打楽器の応酬は、いつ果てるとも知れない宴のとんでもなさに聞こえます。 プログラムから楽器編成を引用させていただくと・・・ 管弦楽組曲「シルクロード」 フルート2、ピッコロ、オーボエ2、イングリッシュ・ホルン、クラリネット2、バスクラリネット、ファゴット2、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、テューバ、ティンパニー、大太鼓、小太鼓、シンバル、トライアングル、ハープ、ピアノ、弦5部 エローラ交響曲 フルート2(ピッコロ)、ピッコロ、オーボエ2、イングリッシュ・ホルン、クラリネット2、バスクラリネット、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン6、トランペット3、トロンボーン3、テューバ、ティンパニー、大太鼓、シンバル、コンガ、ボンゴ、タムタム、マリンバ、シストルム、ウッドブロック、ハープ、ピアノ(チェレスタ)、弦5部 饗宴 フルート2、ピッコロ、オーボエ2、イングリッシュ・ホルン、クラリネット2、バスクラリネット、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、テューバ、ティンパニー、大太鼓、小太鼓、ボンゴ、コンガ、シンバル、サスペンド・シンバル、マラカス、タムタム、シロフォン、グロッケンシュピール、ヴィブラフォン、むち、シストルム、ギロ、ハープ、ピアノ(チェレスタ)、ソプラノサキソフォン、アルトサキソフォン2、テナーサキソフォン、バリトンサキソフォン、弦5部 なかなか面白い編成です。 舞台上の並びも、舞台にむかって左に低音弦楽器、ハープがきたり、ピアノとチェレスタは舞台向かって右後方だったり、弦楽器パートが指揮者の左右に分かれていたり、不思議な音の響きを楽しめました。 最後の権代敦彦の言葉をプログラムから引用します。 「点は0次元。ピアノの音は点。ゆえにピアノは0次元の楽器だ。 この点の集合で、空間に壁をたて、時間に楔を打ち込む。 こうして切り取られた時間、空間の端にある"0"を更に越(超)えようとする。 エクスタシーに至る装置、そしてエクスタシーの果てのその先を見る通路として、 この曲”ゼロ”はある。」 うーん、むずかしい。 塊りの音、ひとつひとつの音、放射状に空間を貫いていく音、空間をゆっくりと浸していく音・・・ それぞれの音を五感で感じ取る、そんな聞き方で聞いただけです。 音楽はなんでも表現できるなあ、というのが一番の感想かな。 |
by crann
| 2006-02-09 23:41
| musica・音楽
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