ニューヨークという異国で。 |
ローズマリーさんの「普段着のココロ」苦い祝宴は、私も大好きなシリーズです。 中国系(アジア系)の家族観、特に何世代たっても異国に同化しないことを誇りとする、移民社会に考えさせられます。日本における日本人よりも、海外へ渡った人々のほうが日本文化を客観的にみつめるように。故郷を離れることは、自身に故郷を見つけることなのでしょうか。 血筋、封建的な風潮、男尊女卑の考え方、そういうことを自分の生活と人生のなかで折り合っていくのには大変な努力が必要です。 『苦い祝宴』主人公のひとりリディアの中国系アメリカ人という生き方の歩み、チャイナタウンで、ブルックリンで、ニューヨークで奮闘していく姿のなかには、民族の歴史や世代が守ってきた伝統、そして血縁のしがらみとの対話があります。 それは、チャイナタウンの華僑実力者、チャイニーズマフィア、漢方医のおじいさん、そして自分の家族、母親とのやりとりのすべてにおいて成されていきます。 否定しつつ、肯定しつつ、リディアが仕事を、自分の人生を決めていくとき、私はとてもリアリティを感じます。 ハッピーエンドな作品はひとつもないのに、いつも清々しい印象を受けるのは、やはり作者(と訳者)の力量です。 リディアの相棒は、これまた異色な中年男性。 見た目はごつく、喧嘩も強い。彼もまたアイルランド移民の末。 ニューヨークに生きる、人間たちの物語です。 |
by crann
| 2004-06-15 23:34
| libro・本
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