心の香り -心香- |
中国映画はこれだ! 夏の終わりに見るのにふさわしい、映画です。 中国の北の都会に住む少年、京京は,両親の離婚のために母の父、つまり祖父の元にひと夏預けられることになる。 祖父は、元京劇役者、演出家としても有名な人物で気難しい芸術家。 祖父のいる南の地方都市は、古きよき中国の伝統を宿す土地であり、都会からの少年にはおもしろくない。隣の家の少女をからかっていたずらしたり、祖父は突然あらわれた孫の扱いに困りきってしまっている。 そんなとき、祖父の長年の友人であり、心の恋人ともいえる郊外の(日本でいう)庄屋の後家さんが、依怙地な二人の心を和らげ、二人はだんだんとお互いをいたわるようになる。 しかし、やさしい田舎のおばあさんは心臓が悪くなり夏の終わりに亡くなってしまう。 祖父は彼女の葬式のために、大事にしてきた京胡(京劇に使われる二胡の仲間)を売ろうとする。 少年は、実は都会で京劇を学んでいて、祖父の演奏する京胡とその醸し出す京劇の世界にあこがれていた。彼と隣家の少女は、京劇の大道芸で稼いで、亡くなったおばあさんへの弔いのお金にしようと考える。 江南の水明な岸辺、少年の初々しい台詞と歌、京胡との別れに最後の演奏をしている祖父、奏でている音にかさなるように聞こえてくる歌・・・ 祖父の家は二層の舞台のようで、飾り格子が作る影や、扉の開きぐあい、人物の出入りまでもがまるで芝居のように見える。 現実でありながら、祖父はずっと芝居のなかに住んでいるようだ。 「冬のソナタ」が懐かしい純愛ドラマなら、これはもっとレトロな純情物語。 レンタルビデオで見つけて、夏の終わりを味わいつつ見てください。 |
by crann
| 2004-08-24 22:48
| cinema・映画
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