ジンジャービア大作戦。 |
それからジョンとスーザンは急いで浮き桟橋にあがると、ねずみとりからはっか菓子にいたるまで何でも買える店へ入った。 「ラム酒を四本ください」と、ジョンは何の気なしに言ってしまった。 「ジンジャービアです」と、スーザンがきまじめに言った。 (『ツバメ号とアマゾン号』上巻 136頁岩波少年文庫版 ジンジャーエールといえば。 日本ではカナダドライ、ウィルキンソンが有名です。 ノンアルコール飲料であることは、誰もが知っているでしょう。 ランサムの物語『ツバメ号とアマゾン号』のシリーズには、よく「ジンジャービア」というものが出てきます。 エールとビアの違いは何?というところから、「ジンジャービア」手作り作戦は始まりました。 (以下のレポートは「ジンジャービア実験同志」サグレスさんのレポートを含んでいます。) ■ジンジャーエール?ビア? Wikipediaによれば… ジンジャーエールは、本来はその名前の通りエール(上面発酵ビール)にジンジャー(生姜)の絞り汁を加えたものであるが、現代において通常ジンジャーエールと呼ばれるものはドライジンジャーエールであり、1904年にJ.J.マクローリンが開発した。これはアルコール分は含まれていないのが通常である。 のだそうです。 ウィルキンソンのジンジャーエールは、なんと日本の神戸の天然炭酸水を発見したイギリス人が起こした会社だそうな。 現在はウィルキンソンの子孫からアサヒビールが権利(工場)を買い取り、昔ながらに神戸近くの鉱泉炭酸水から作って販売しているとのこと。 1870年代に英国で上面発酵(酵母を使用して常温(18~25℃)で発酵を行う醸造法。発酵中に酵母が浮上し、液面に酵母の層ができることからこの名がある。イギリスのエールはこのタイプ。)型のジンジャーエールが発明(発見?)され、1900年代初頭には一般的な飲み物となっていました。 「カナダドライ」はこの上面発酵型ではなく、生姜シロップを炭酸水で割ったもので、全くアルコール分を含みません。 ビアとエールの呼び名の変遷は、年代と作り方の違いの関係かと思われるのですが、まだ不明です。情報、回答をご存じの方はぜひ教えてください。 ランサムの物語『ツバメ号とアマゾン号』の子ども達が飲んでいるのは、どうも上面発酵型ジンジャーエール、つまり多少なりともアルコール分を含むもののようです。 となると、ジョンが「ラム酒をください」と言っているのは、気分的には間違いではないのかも。 ■ショウガシロップで作る wikipedia他、様々なネット上の情報があり、自家製のノウハウが見つかります。 ジンジャービア(エール)プロジェクトは、まずサグレスさんが上面発酵型で成功しました。それならと、06年9月の桧原湖キャンプではシロップ型ジンジャービア(エール)に挑戦してみました。 材料 ・ショウガ 10センチ以上のもの2本くらい ・砂糖 500g(!) ・水 500㏄ 作り方 ひたすらショウガをすりおろして砂糖と水で煮つめてシロップにする。 これだけです。 キャンプでやろうというのだから、おろし金なんてないので、ひたすら微塵切りにします。 微塵のショウガを煮詰めるのですが、砂糖のあまりの大量さ加減に糖分とりすぎの危機を感じて300gくらい(秤なんて無い)に減らしてみました。 が、煮詰まった混合液はスプーンが沈まないほど濃厚で金茶色。 この混合液を冷まして、ガーゼで漉して、ジンジャーシロップは出来上がりました。 シロップをクラブソーダで炭酸割りにして飲むと濃いいショウガの味は、まさしくジンジャービア。あの砂糖の量が気にならないくらいショウガが効いてました。 付け加えると、漉したショウガの糟は紅茶に入れてみて、その後はクッキーに練りこんでジンジャークッキーとなったので、最後まで有効利用ができました(笑) またまた付け加えると、この高濃度ショウガシロップをビールでわると(市販のジンジャーエールとビールを配合するカクテルもありますね)アルコールのまわりが早い!ということも発見。 冬は風邪に効くかも。 ■発酵は危険!? サグレスさんの詳しいレポートを転載します。 さすが生物学者のサグレスさんです♪ 器具 ・2Lペットボトル(できれば炭酸飲料用の耐圧性のもの) ・おろし金 ・スプーン大・小 ・じょうご 材料 ・根ショウガ(太い所5cm以上?) *最終的には大さじ2杯分のおろしショウガが必要です) ・レモン(1個)、 ・白砂糖もしくはグラニュー糖(カップ1杯弱) ・パン用のドライイースト(小さじ4分の1~2分の1) ・水2L弱(市販のものを使いました) 作り方 1 きれいに洗ったペットボトルに、じょうごで砂糖とイーストを入れる。 2 すり下ろしたショウガを大さじ2杯分、レモン1個分の絞り汁を1)に加える。 3 そこに水を半分くらい加え、蓋をしてしっかり振り混ぜて砂糖を溶かし、残りの水を加える。瓶の口から1インチくらいは空けておくこと。 4 室温で発酵を進める。25℃くらいの室温なら、24時間程度で出来上がる。 *この時、柔らかいペットボトルを使っている場合は、指でペットボトルを押した時に固くなっていればOK。 (内圧が高まるため、押した時に指がめりこまなくなるのです) 出来たらすぐに冷蔵庫に入れ、一晩よく冷やす。 警告! 約25℃の室内に30時間以上置くと、耐圧でないペットボトルの場合、破裂する危険があります! また、気温が高い所ではイースト発酵がどんどん進みますから、もっと時間が短縮されます。 30℃を越えるような所に置く場合は、頻繁に指で押して様子を見た方が良いでしょう。 また、万一の時に備えて、発酵中の瓶は大きなビニール袋でくるむとか、蓋付きのバケツやアイスボックス、風呂桶に入れるなどしておけば、仮に破裂したとしても被害は最小限に食い止められます。 もしうっかり時間をおきすぎて「やばい」という状態になったら、流しかお風呂場など濡れて良い場所で、瓶の上に大きなビニール袋をかぶせ、その中で蓋を開けると、中身が飛び散らずに済みます (さもないと天井まで吹き上がるそうです。手作りビールを作った人から聞きました)。 注意! イーストによるアルコール発酵ですので、若干のアルコールを生じます。 元サイトによれば、1パーセントにも満たないアルコール濃度だそうですが、お菓子のアルコールでも具合が悪くなる体質の方には飲ませないでください。 飲み方 よく冷やしてあってもガス(二酸化炭素)が沢山発生しているので、蓋を無造作に開けるとジンジャービア噴水が出来上がります! なので、ちょっと蓋をゆるめてガスを抜き、液面から大量の泡が立ちのぼってきたら蓋をし、泡が収まったらまたちょっと蓋をゆるめてガスを抜き、・・・というのをしばらく繰り返して、液面から立ちのぼる泡がある程度落ち着いたところでグラスに注ぎ分けます。 ショウガのカスが気になるようでしたら、お茶こしなどで漉して注ぐと良いでしょう。 (私達はあまり気にならなかったので、そのままいっちゃいました。) 以上のサグレスさんの成功を見て、我家では3回発酵型に挑戦しました。 結果は、もちろん成功! ではあるけれど、残暑厳しい東京のどまんなかでの発酵は、スリル溢れるものでした・・・ わりと固めの2・45Lという特大ペットボトルで挑戦したのですが、炭酸で内圧が最高に高まったとき「ぼこん!」とはっきりと音がしたのですよ(爆) 2.45Lという大量製造をすると、どんどん発酵がすすんで甘酒状態になることも判明。 つまり、ジンジャーエール発酵タイプは出来上がりと同時に飲みきるほうが良いわけです。 特に夏の暑い日本では。 |
by crann
| 2007-06-16 23:54
| mangiare・美味
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